『うつくしい絵』という絵本をご存知ですか?『だるまちゃんとてんぐちゃん』『カラスのパンやさん』で有名なかこさとしさんによる、絵画の入門絵本です。
なんとこの作品は、600冊の絵本を手がけたかこさとしさんが、唯一自分から出版社に企画を持ち込んだという経緯のある、かこさんにとっても特別な作品。
美術の知識や見方を紹介する絵本はたくさんある中で、こどもの美術を見る心を育てる絵本はこれだけでは?と私は思っています。今回は、他にはないこの絵本の魅力をご紹介します!
★おすすめ年齢:小学1年生〜
*本記事はプロモーションを含みます
・『うつくしい絵』『すばらしい彫刻』に興味がある
・こどもに美術に興味をもってほしいと思っている
・かこさとしさんの絵本が好き
『うつくしい絵』ってどんな本?
古今東西の名画を紹介し、作家の人間像と名画の深いからみあいをさぐります。「絵の見方、描く心」をやさしく説いた美術入門書。
(偕成社HP)
『うつくしい絵』には、ダヴィンチ「モナ・リザ」、ゴッホ「ひまわり」、北斎「神奈川沖裏浪」など6点の名画が登場します。
かこさんは、やさしい語り口調で、名画が名画たるゆえんをわかりやすく説明してくれます。でのこの本のすばらしさは、これだけじゃないんです!
『うつくしい絵』のここがすごい!
作品の裏の「画家の思い」が描かれている
例えば北斎の富士山と波を描いた「神奈川沖浪裏」の魅力や版画について説明した上で、庶民の暮らしを描いた北斎漫画も紹介。そしてかこさんはこう語ります。
北斎は、まわりのひとびとや、すんでいる日本のしぜんを心からたいせつにし、うつくしい絵にかきました。そのうつくしい心が、せかいじゅうのひとびとを、かんしんさせたのです。


そしてピカソの「ゲルニカ」では、ピカソの戦争に対する怒りや亡くなった人々に対する悲しみが、荒々しい線や奇妙な形、そしてモノクロの色に表れ、この絵を観る人々の目を離さないのだと語ります。
作品がどんなものか・画家がどんな人生を送ったか、がわかる本はありますが、作品と画家の思いをつなげ、それをこどもに向けてわかりやすく伝えてくれるのが、この本のすばらしいところです。
こどもの美術を観る心を育てる!
最後に、かこさんはこどもたちにこう語りかけます。
「そうです。うつくしい 絵は、絵を かいたひとの うつくしい 心が あらわれているのです。うつくしい 絵は、 みるひとが 絵を かいたひとの うつくしい 心を かんじるとき、 いちばん つよく うつくしく ひびくのです。
どうか うつくしい 絵を みて、絵かきさんの うつくしい 心を くみとってください。うつくしい 絵を かんじとれる ひとに なってください。」
うつくしい絵は、画家のうつくしい心から生まれる。そして見る人がその画家の思いを感じ取ったときに、そのうつくしさが伝わる…。この箇所を読んだとき、私は感動すると同時に、今まで自分は絵をなんとなくみてきてしまっていたなと反省しました。
実はこの本ははじめ図書館で借りたのですが、こどもにもただ絵の美しさを鑑賞するだけでなく、その背景の画家の思いも感じられるようになってほしい…!と思い、購入を決めました。
この本を通じて、こどもはこの絵はなんで自分の心を動かすのだろう、この画家はどんな思いでこの絵を描いたんだろう、ということを想像できるようになるはず。ぜひ1人でも多くの人・こどもたちにこの本を読んで、絵画そして画家や自分の心と向き合ってもらえたら、と思っています。
まとめ
『うつくしい絵』の魅力、伝わったでしょうか!?実はこの本には『すばらしい彫刻』という姉妹篇もあります。芸術の秋、ぜひ親子でじっくり読んでみてください!


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